(猫耳闇マリク、スパンキング)
(二心二体)
ちょっとした私用から帰って来れば、俺サマを出迎えたのは一人のキチガイだった。
不機嫌そうな三白眼、アホみたいに逆立った髪、しっかりと筋肉の付いた褐色の身体…闇人格のマリクだ。
確かにこいつの気は狂っているが、今更言うほどのものでもない。
それなのに何故俺サマがわざわざキチガイと称したかと言えば、理由はマリクの頭にあった。
どういう仕組みで立っているんだか知らないが、その無駄に量の多い髪の中に猫みたいな耳が付いていたのだ。
余りの似合わなさに反応のしようが無い。
半分閉じた目つきの悪い目や、自由気ままに振舞う様子は猫らしいと言えばらしいかもしれない。
しかしどう見たってこいつの性格や体格にこの猫耳は似合わない。
ただ気持ちが悪いだけだ。
「……何やってんだよ」
「あぁ?何がだァ?」
「だから、その耳だよ!ついに頭おかしくなったか」
出来ることならば触れたくなかった。
しかし玄関先まで迎えに来られていたのでは無視のしようが無い。
渋々口を開けば、目の前のキチガイはニヤニヤとした笑みを浮かべながら自分の頭から生える猫耳を摘まんで見せた。
そのちょっとした仕草までもが恐ろしく気持ち悪い。
「これかァ?貴様の宿主サマに言われたんだよ」
「は、…宿主が…」
「今日は猫の日だからこれを付けて過ごしてね、だとよォ」
「それでお前は馬鹿正直にんなモン付けて過ごしてんのか」
「そうすれば貴様の嫌がる顔が見れるって言われたんでねェ」
大体の予想は付いていたが、やはり元凶は宿主だった。
この手の悪乗りをしてくるのは大抵宿主なのだ。
それに上手いこと使われている目の前の馬鹿に呆れ果て、がっくりと肩を落とす。
利用された当の本人は俺サマの“嫌がる顔”を見れてご満悦のようだ。
嫌がる顔って、なあ。良いガタイした男の猫耳見て引かない人間の方が珍しいだろうよ。
取り合えず、宿主の仕掛けた嫌がらせに嵌ってしまったことはさて置き(どうせ俺サマは宿主に敵いやしないのだから)、
目の前の糞ガキを喜ばせる結果になってしまったのは非常に不愉快だ。
俺サマに嫌がらせした罰としてお仕置きしてやらねえとな。
わざと大きな音を立てて手にしていた鞄を放り投げれば、今までニヤニヤと笑っていたマリクの顔が一転、きょとんした顔になる。
それに構わずマリクの腕を掴むと寝室に直行した。
乱暴に扉を開けると、そう広くも無い部屋だ、すぐにベッドがある。
そこに先程の荷物よろしくマリクを放り投げた。
うつ伏せに倒れこんだマリクが両手両膝を付いて起き上がろうとするが、
体勢を整える前に上から圧し掛かり、その場に縫い付けた。
動きを止められたマリクは、四つん這いのまま唯一自由に動く不機嫌そうな顔をこちらに向けた。
「急に何だァ?随分乱暴じゃねえか」
「ハッ、別に?ただ悪戯好きな猫にご主人様自ら躾してやろうと思ってな」
「………躾、だァ?」
こいつもそう馬鹿ではないらしい。俺サマの言葉の不穏な空気を悟って警戒の姿勢を見せる。
まあここまで追い込まれてりゃあ手遅れだがな。
左手でマリクの首根っこを押さえつけて上半身を沈ませれば、自然と腰を高く上げた体勢になった。
右手を前に伸ばして、マリクのベルトを外しにかかる。
ガチャガチャと響く金属音に、流石のマリクもこれから何をされるのか気づいたようで、盛大に暴れ始めた。
「おっ、おい!やめろ!放せ!!」
「うるせえなあ。躾だって言ってんだろ?」
「何故きしゃまに躾けられないとなら、…っ!」
バタバタと暴れるマリクを何とか押さえつけてベルトを外すと、すぐに下着ごとズボンをずり下げた。
普段晒すことの無い部分が空気に触れたことによってマリクが息を呑む。
服を脱がされ動きが鈍くなったところで、マリクの腰の辺りに左腕を回し、膝の上に乗せる形で横向きに抱えなおした。
こいつは馬鹿でキチガイだが、この身体だけは何度見てもソソられる。
さあ、今日はどうしてやろうか。
しばらく考えて、右手を高く振り上げると、引き締まった褐色の尻に向かって振り下ろした。
「ぅああっ!ひぃっ!あっ、な、何ッ…!?」
衝撃に、マリクが啼いた。構わずまた手を振り上げ、降ろす。
俺サマの平手がマリクの尻を打つたびに、パンッ!という小気味良い音が部屋に響いた。
そしてその度にマリクは声を上げて身体を跳ねさせる。
まるでガキにする躾けみたいで、この倒錯的な状況に少なからず興奮する。
それはどうやらマリクも同じようで、その証拠に俺サマの膝、丁度マリクのペニスが当たっている辺りがじんわりと生暖かく濡れてきた。
ビクビクと跳ね上がる身体も、決して打たれる痛みからだけでは無いんだろう。
分かってはいたが相変わらずの変態っぷりには哂ってしまう。
「はっ、ケツ叩かれて感じてんのかあ?」
「ぁうっ!あっ、感じて、ないっ!」
「じゃあこれは何だよ」
叩く手を止めマリクのペニスに伸ばせば、そこはギンギンに勃起していて既に先走りでどろどろに濡れていた。
思い切り握りこんで擦れば、背を仰け反らせて喘ぐ。先走りを指に絡ませて、アナルに突っ込んだ。
そこは異物を受け入れるのを拒否しているが、無理矢理押し進めかき回す。
あまりの痛みにマリクは悲鳴を上げ悶えるが、俺サマには知ったこっちゃない。
「あ゛あ゛あ゛ぁッ!!ぁぐう!い、痛ぃぃっ!」
「そんな死にそうな声あげるなよ。痛ぇのが好きなんだろ?」
「ちがっ!!ひぅ!もっ、もう、やめッ…ぎぃッ!!」
更に指を増やして付け根まで一気に捩じ込めば、潰れた蛙みたいな無様な声を上げた。
髪を引っ張って顔を上げさせれば、涙やら唾液やらでぐっしゃぐしゃに汚れている。
その惨めな姿が最っ高に似合ってるよ、お前。
こんな汚らしい猫なら捨て猫同然だろう。手加減してやる必要も無い。
簡単にしか慣らしていないがもう良いだろうと見切りをつけ、アナルから指を引き抜いた。
掴んでいた手も離したがもう抵抗する力も無いんだろう、マリクはその場にぐったりと倒れこむだけで
一切抵抗する素振りを見せなかった。ただ小さく呻き声だけが聞こえる。
俺サマは自分のズボンを下げ、ペニスを取り出した。
認めたくはないが、マリクの痴態を見て興奮してしまった俺サマのペニスは、完全に反り返っていた。
こんな変態を見ていただけで反応するなんて……若干の悔しさはあるが、まあ良い。
今はこいつをその変態のケツにぶち込むのが先だ。
俺サマはペニスをマリクのアナルに当て、先端を少しだけ押し込んだ。
「さあて、ご主人様のチンポ突っ込んでやるよ。喜びなぁ!」
「うぅっ…ま、まくらァ……待っ、あ、あああああ!!!!」
マリクの静止を最後まで聞かず、一気に突っ込んだ。
最初の方はキツイが、そこを過ぎれば後は楽に入る。
実際ズプンッと音を立てて飲み込んだアナルは、まだ物足りなさ気にヒクついている。
軽く腰を動かせば、マリクは身体を震わせながら呼吸を荒くする。
髪の隙間から見える横顔は恍惚としていて、どう見ても苦痛を感じているようには見えない。
これだからドMの変態は…。
素直に悦ばせるのも癪だが、動かないと俺サマもイけない。
仕方なく打ち付ける腰の動きを速めた。
マリクの喘ぎが明らかに艶を持ったものに変わる。
「あぁっ!ん、ん!ふぁ、あッ…!うぅぅっんっ、」
「、そういやテメェ、今日は猫なんだったっけ、なあ?」
「ぁっ、ぅんんッ、そっれ、が…どう、ぁッ!」
「猫ならっ、大人しくニャンニャン啼いて、なァ!」
「っ!ひ、いぃッ!!あぁっ!あ、…ッ!」
「違ぇだろっ、猫みたく、啼いてみせろよ!」
「ぁッ、あ、に、にゃあ、んっ!にゃん!にゃ、ぁぁああ!!」
腰を叩きつけながら命令すれば、マリクは素直にそれに従う。
この状況に俺サマは異常に興奮していた。
さっきまで散々気持ち悪いと思っていた奴が猫の鳴き真似なんてしているのに、全く萎えない。
それどころか確実に絶頂に向かっていた。だって仕方ないだろう。
普段ふてぶてしい態度を取っている男が、猫耳付けて自分の嫌う男にチンポぶち込まれて
ヒイヒイ言わされた挙句、プライドも捨てて馬鹿みたく猫の真似しているんだぜ?
これ以上の傑作があるか?
「ハッ、だっせぇなあ、マリク」
「ひゃうぅっ!にゃあ!あ…にゃ、にゃんんッ!!」
「っ、く……イ、きなあっ!」
一際強く打ち付けて中に放てば、少し遅れてマリクもイッた。
きゅうきゅうと締め付けられて、搾り出されるようにして精液を出し切り、ペニスを抜く。
ぱっくりと開いたままのアナルからすぐにどろりとした白濁が零れだした。
マリクの身体を反転させて顔を見れば、その目は虚ろで、半分意識が飛んでいるのが分かった。
涙と鼻水と涎で汚らしくなった顔があんまりにも酷かったのでシーツで無造作に拭ってやるが、
はあはあと荒い呼吸を繰り返すだけで反応は無い。
「だらしねぇなあ、こんくらいでよお。聞いてんのかあ、マリク?」
ぺちぺちと頬を叩くと、こくり、と軽く頷いた。
しかし相変わらずぼうっとしているところを見ると、
言葉の意味を理解しているというよりは、ただ言葉そのものに反応しただけのようだ。
目の焦点も相変わらず合っていらず、ゆらゆらと不安定に揺れている。
余程気持ち良かったのだろう。
「ケッ……躾だってのに、随分淫乱な猫だぜ」
「…………」
「なァ、ならご主人様に躾のお礼を言いなあ」
「……ぉ……れ、ぃ」
「ご主人様有難う御座います、って言ってみな」
「………ごひゅじ…しゃまぁ……ありが、とぅ…ごらぃ、ましゅ…」
「…っ!」
何を言わされているのかも分かっていないであろうマリクのその言葉に、自分で言わせておいて何だが、
これ は、
「ヤベェ、な…」
完璧に反応し出してしまった自分のペニスを見る。
仕方ない、この身体の元は宿主だ。健康な若い男の身体なのだ。
「もう一回付き合え」と聞こえていないのを承知でマリクに言う。
さり気無く、ずれた猫耳を直してやり、今度は正常位で組み敷く。
猫耳も馬鹿に出来ないもんだぜ、と思いながら俺サマは第二ラウンドへと突入していったのだった。
(後日宿主に猫耳属性!と散々ネタにされたのは言うまでもない)
毎度ながら話の流れがカオス、に…。
取り合えずマリクにご主人様なんて呼ばれたらフル勃起^^
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