マリクは、時々バクラと格闘ゲームで対戦をするのだが、どうしても彼に勝つことが出来ない。
それで何も予定の無い休日のこの暇な時間を使ってコンピュータ相手に練習に励んでいたのだが、
YOU WIN!
何度も見続けたその画面に、いい加減飽き飽きしていたマリクは、これ以上は無駄だと見切りをつけてゲーム機の電源を落とした。
もう何十戦と繰り返した勝利。コンピュータ相手ならば何度やっても勝てるのだが人間相手ではどうにも勝手が違うようだ。
気がつけばもう外は真っ暗で、時計を見てみると夕食時だった。熱中している間に随分と時間が過ぎていたらしい。
今日は、二人のばくらは留守にしている為、夕食はインスタントのものにする予定だ。支度はそう掛からない。
マリクは軽く伸びをして堅くなった身体を解すと、この家の残るもう一人の住人、自分の闇人格を呼びに行くために、自室へと向かった。
獏良に与えられたマリク達の部屋。躊躇無くその扉を開けると、中は真っ暗だった。
また寝ているのだろう、とマリクは軽くため息を吐いて、扉のすぐ近くにあるスイッチを押す。
カチカチ、と何度か瞬きを繰り返し、部屋に明かりがつけられた。
予想通り、彼は眠っていた。
もう秋も深まりだいぶ寒くなったというのに、薄手のタオルケットを無造作に被っているだけだ。
ベッドに歩み寄れば、彼の寝顔がはっきりと見られた。うつ伏せの状態で、顔だけを横に向けている。
枕に半分沈んでいるその寝顔は、普段の邪悪さは欠片も見当たらない、実に幼いものだった。
彼は、見た目の年齢と実際に生きている年齢が違う。
それだからか、それともただそのような先入観があるからか、彼のふとした時の仕草は驚くほどに幼い。
穏やかに寝息を立てる彼の頬をすっと撫でると、彼はくすぐったそうに少しだけ身じろぎをした。
その子供のような反応に、丁度先程のゲームで飽き飽きとしていたマリクの悪戯心が擽られた。
ニヤリ、とその口元をさながら悪役のように歪めると、ベットサイドに置いてあるチェストを一瞥してから、彼の身体を覆っているタオルケットを剥ぎ取った。
彼の身体を跨ぐようにして馬乗りになると、片手を彼のスラックスごと下着の中に差し込む。
そうして、当然、何も反応していない彼のペニスを軽く握るとゆるゆるとすき始めた。
冷たい手が自分の敏感な部分に触れたことによって、彼は子犬のように鼻を鳴らしたが、
僅かに反応を見せ始める彼のペニスとは対照的に、彼自身は未だ眠りから目覚める様子は無かった。
それを良い事にマリクは手の動きを一層激しくさせる。裏側を強めに擦り、先端に爪を立てた。
「っ!?ひっ、あああぁぁっ!!!」
その刺激で漸く彼が目を覚ました。苦しげに高い声を上げるが、マリクは構わずに続ける。
無理矢理眠りから引きずり出された彼は、何が何だか分からぬまま目を白黒させながら与えられる快感に身体を震わせた。
眠りに就いていた時とは別の意味でぼんやりしていく頭をフル稼働させ、何とか事態を飲み込んだ彼は、
自分に覆い被さって身体を蹂躙している相手に抗議しようと片肘をついて身を起こそうとした。
しかし、すかさずマリクが浮いた方の彼の肩を掴み、逆側に押し付けた事で、身体を反転させるだけに終わってしまった。
身体が仰向けになった事によって、マリクは彼の上着をたくし上げると、ぷっくりと反応を見せている乳首に舌を這わせた。
全く予期していなかった状態で敏感な箇所に刺激を与えられ、マリクの熱は否応無しに高められていく。
「あぁぁんっ!しゅじ、かっ、くさまあ!あっあっ!だっ、もっ!イっ・・・!」
マリクが嘗め回すだけだった乳首を甘く噛み、同時にペニスの先端に先程よりも強く爪を立てると
彼は一層高い声を上げて自らの胸に白濁を散らした。
呼吸を整えようと荒く息を吐けば、しっかりと筋肉のついた胸が激しく上下に動く。
その動きに、先程吐き出した白濁が彼のわき腹を伝ってシーツへ零れた。
褐色の肌にその白は映え、酷く卑猥だった。
「はっ・・あ・・・・な、何なん、だァ・・・?急に・・・」
「別に?理由なんて無いさ。ただ暇だったからだよ」
そうにべも無く言い切られてしまっては何も言えない。言いたいことは色々あったが結局彼は押し黙ってしまった。
どちらにしても彼は、自分が自身の主人格を拒否する事は出来ないのを分かっている。
例えどんな事であろうと、彼はマリクを受け入れてしまうのだ。それでも未だ不服そうな表情を見せている彼に、
「そんなことより・・・」と、マリクが彼の腹をなぞり、その細く美しい指に彼の精液を絡ませた。
「こっちも、欲しいだろ?」
そう言って性器を滑り、辿り着いたのはその奥。
指で絡み取った彼の精液を使ってアナルの入り口を撫で回す。
ギリギリ指が中に入らない程度の微妙な力加減で、堅く閉ざされた入り口をゆっくりと解かしていく。
しばらくグリグリと弄られて、唐突にズプッとマリクの指が一本挿入された。
入り口をしつこく嬲られたそこは、細い指を難なく飲み込む。
そのまま付け根まで押し込むと、ぐるぐると大きく円を描くように指を回し始めた。
壁を押し広げていく行為に、やはり多少の息苦しさがあるのか、マリクは固く目を瞑って耐えている。
顔の横に投げ出された手はぎゅっとシーツを握り締めていた。
隙間に余裕が出来ると、中をかき回していた人差し指を一度第一間接の辺りまで引き抜き、
中指を添えた状態でまた押し込んだ。
「ぁくんっ!ひ、ぁあ、あ・・・!」
中で指を広げ、更に彼の中を押し開いていく。
二本の指は彼の感じるところを探り、容赦無く攻め立てる。
堪らなかった。自分の感じるところを刺激されて与えられる肉体的快感と。
何より、今自分の中に入っているのが、世界中で誰よりも愛している自分の主人格だという事実。
その二つの快感が、彼の全てを快楽の果てへと押し流していく。
気が付けば彼の中に入っている指は三本に増えていた。
それでも物足りなく、更なる快楽を求め彼の腰は知らず内に揺れていた。
「腰、揺れてるぞ?」
もう片手で尻を鷲掴みにしてマリクが言う。
そこで彼は初めて自分の痴態を知り頬を染めるが、もう自分でも止められなかった。
その綺麗な紫からポロポロと涙を零し、シーツを握り締めていた手をマリクの首に回して哀願した。
「もっ・・!ゆ、びじゃ、ぁ、た、足りないぃっ!」
「じゃあ何が良いんだ?」
「ぁ・・・ひっ、ん!も、もっと・・・太っ、の、くれよォ・・!」
彼の言葉を聞いたマリクはニヤリと笑った。その笑みは誰が見ても一目瞭然、何か良からぬ事を考えているものだったのだが、
残念ながら今の彼にはそれに気付ける余裕は無かった。
早くあの高ぶる熱を自分の中に挿入れてくれと。そうしてぐちゃぐちゃにかき回してと。
頭の中にはその事しかなくて、足を目一杯広げてマリクを待ちわびていた。
しかしマリクはそんな彼の姿を愉快そうに眺めながら、片手をベッドサイドにあるチェストへと伸ばす。
一番上の奥から手探りで小さな鍵を取ると、それを使い器用に一番下の引き出しを開けた。
そこから取り出した物は、一本のバイブレーターだった。
然程大きくは無いが、表面がゴツゴツとしていてどこかグロテスクな印象を与える。
更にショッキングピンクという色合いがそれの下品さを倍増させていた。
待ちきれずに、彼がきつく閉じられていた瞳を開けたのと、マリクがそれを彼の中へねじ込んだのとはほぼ当時だった。
「ひぃっ、ぁ、ぁぁぁぁぁあああああああ!!!!!」
彼のアナルは随分慣らされていたが、肝心のバイブの方は全く濡らされていない。
それを力の限り無理矢理押し込まれ、彼は喉が潰れるほどの悲鳴を上げた。
零れ落ちるのではないかというくらいに目を見開き、苦痛に呻き声を搾り出すが、マリクは
そんな彼を労わる様子は一切見せずにがつがつと殴るようにバイブを押し進めていく。
「ひぎぃっ!ひっ、い、ぁああっ!あぐっ、う、」
「ほら、どうしたんだ?お前が欲しがっていたモノじゃないか」
「ぃあっ!ち、ちがぁ!っは、ぁ、あ!」
最初は苦痛の色しか見られなかった彼の声だったが、固いバイブに前立腺を刺激され続けている内にその声に甘さが混じってきた。
時折甘えたように鼻を鳴らし、一度は痛みに萎えた彼のペニスもまた反り返っている。
その先端からは透明な液が止まることを忘れたように溢れ続けていて、彼の絶頂がそう遠くない事を告げている。
「んっ、ふ、ぁあ、あっ!ひっ、ん・・・ま、たっ、イく、ぅ・・・!」
マリクにしがみ付く腕に力を込めながらそう途切れ途切れに限界を訴えた。
快感を受け止める為に爪先をぴんと張り硬直している体は僅かにカタカタと震えている。
彼の意思には関係無く、キュンと胸を締め付けるような何とも言えない感覚と共にぐんぐん高みへ上っていく。
目の前が真っ白になり、「果てる」、そう思ったときだった。
マリクが中を犯す手を止めたのは。
「っあ・・・?ふっ、ぁ、な、何でェ・・・?」
息を荒く吐きながら彼が問う。
絶頂の直前で止められた身体は解放を求め、哀れに震えていた。
マリクは自分にしがみ付く彼の腕を外して上体を起こすと、あっけらかんとした笑顔で言い放った。
「飽きた」
流石の彼も、これには言葉を失うしか無かった。
マリクが気まぐれな性格であることは、分裂人格として身体や感情を共有した彼が一番知っている。
しかし、いくらなんでも今この状況でそれは無いだろう、と。
こんな状態で放ったらかしにされてしまうのかと、あんまりに惨めな気持ちで、先程とまでは違う涙が浮かんでくる。
しかしマリクは彼の気持ちなどお構い無しに、彼のペニスを指先で弾いてみたり、まるで玩具でも扱うように彼に接する。
ぐんと伸びをして、あーあ、と続けた。
「お前の所為で汚れたじゃないか。あちこちお前の汚いモノでべたべただよ。ボクはちょっとシャワー浴びてくるから」
焦った彼が慌てて彼を引きとめようと手を伸ばすが、マリクはその手が自分に届く前に振り払った。
悲痛な表情を浮かべる彼に対し満足げに笑うと、彼のアナルに根元まで埋まっているバイブに手を伸ばした。
丁度バイブの底の部分に付いているつまみを動かすと、それは緩やかに動き出した。
突然の刺激に彼の身体が大きく跳ねる。
「っ!?あっ、ぁっ、ぃ!な、なっ、に・・!?」
「突っ込むだけじゃなくて動くんだよコレ。まあバイブって言うくらいだしね」
そう言いながら無造作に投げ出されている彼の両手を取ると、今にも達しそうな彼のペニスへと導き、その根元をぐっと掴ませた。
外に放たれようとしている精液の流れが止められ、酷い息苦しさが彼を襲う。
「もしボクが上がるまで我慢してられたら続き、してやるよ」
「!そっ、な!む、無理だ、ぁっん・・・!」
「我慢出来ないなら別にイっても良いけどね?まあそうしたらボクは二度とお前を抱かないかもしれないね」
その言葉に、彼は今度こそ絶望した。マリクに二度と抱いてもらえないだなんて。
そんなことは我慢出来ない。彼は自ら、ペニスを締め付ける自身の指の力を強めた。
同時にきつく閉じられた彼の瞳から涙が搾り出され、こめかみを伝っていった。
「じゃあ、精々頑張れよ」
あまり長風呂は好きではないけれど、今日はいつもよりゆっくりシャワーを浴びよう。
自分が帰ってきたときに彼はどうしているか。
我慢出来ていればもがき苦しむ彼を見る事が出来るし、もし我慢出来なかったとしても、彼はどうにか許しを得ようと哀願してくるに違いない。
どちらにしても自分にとっては最高に愉快な展開になるのだ。
あぁ、楽しい。あんなつまらないゲームよりこちらの方がよっぽど有意義な遊びでは無いか。
マリクはそう思い、くつくつと笑いながら彼を残して部屋を後にした。
ぐちゃぐちゃな話で申し訳無いです・・・!
その内続き書きますが取り合えず一旦終了。